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emergencyで仕事をする人

9・11での活躍と貢献を契機として、fire fighterという職業は、ますます人気の英雄的な職業となった(とりわけ、アメリカ合衆国で)。
子供達の憧れの的。

だが、そんなヒーローのように愛と勇気に満ちた強いfire fighterでも、9・11の背景では、多くの消防士がCISに罹った。
勿論、9・11に限った事ではなく、緊急事態に直面する職業を持つ彼らには常につきまとうものがCISである。
CISとは、Critical Incident Stressのことで、日本語では、心傷性災害ストレスと言われている。
災害、事故等の救援者(消防職員、自衛隊、警察官など緊急業務従事者)にみられる心の傷であり、つまり、救援者のPTSDと言える。

emergencyで仕事をする人には、共通する特徴があるとされている。
emergencyで仕事をする人の特徴を、以下に挙げる。

・行動中心
・感情抑圧
・いつも瀬戸際
・自分の弱さを否定
・泣かない
・obsessive ⇒ やらねばならない
・成功、達成志向型
・失敗を認めたがらない
・完璧主義
・家族主義、同族主義  cf.)同僚も大切にする
・救助、援助活動に献身的
・家族や職業に対して忠誠 ⇒ それ以外は信じにくい傾向
・頑張り屋
・必要以上にリスクを冒す
・いたずら、誤報に腹を立てる
・退屈しやすい ⇒ risk-takingな趣味(high risk hobby)を持つ
・認知的に柔軟性に欠ける ⇒ 手順通り
・性格の中に色んなものが同居  ex.)強さと優しさ、決断力と細心の注意、etc.・・・

以上が、緊急業務従事者に見られる特徴である。


そして、何を隠そう私の祖父は消防署長だった。
まさしく、上に挙げたような特徴を備えた、強さと優しさの同居する祖父だった。
私が幼い頃から、消防署長の祖父が身近に居たため、大学において「emergencyで仕事をする人の特徴」について学んだ時、私は誰よりも納得したのだった。
祖父はCISとは無縁だったのだろうか。
黒焦げの人間の焼死体なんて、日常茶飯事。
焼け焦げた人間の臭いというものは、それはそれは耐えられないものだと聞く。
硫黄が燃焼すると、とてつもなく臭いのだ。
他にも、グチャグチャの人間の死体を幾度となく目にしてきたはずだ。
手足も内臓も、何もかもグチョグチョにされたような。
緊急事態の仕事現場で凄まじい死体を目の当たりにし、その場で「ゲーゲー」吐いている新人消防職員を、祖父は何人も見てきたという。
慣れない若手の消防職員は、暫く「肉」が食べられなくなるという。
特に、「ミンチ」。
挽き肉系の肉を見ると、嘔吐するという。
若いうちは、恐らく仕事どころではないだろう。


常に強くて、成功・達成志向型で、完璧主義で、家族・同胞・同僚・職業に対して忠誠で、救助・援助活動に献身的で、頑張り屋で、リスクも厭わない、そんな祖父に、改めて心から敬意を表し、今年を終えたいと思う。
by epokhe | 2004-12-30 18:18
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