人気ブログランキング | 話題のタグを見る

試論Records

epokhe.exblog.jp ブログトップ

あの90年代に10代のすべてを消費した作家

少し前に、生協の書籍コーナーで講談社ノベルスの特集がされていて、そこで初めて「佐藤友哉」という若い作家を知った。
(サトウトモヤだと思ったら、サトウユウヤだった。)
デビュー作でメフィスト賞を受賞しており、「あの90年代に10代のすべてを消費したいちばんはじめの作家」とされている。
やはり、あの90年代に10代だった人間はそれ相応の独特さを持っている。(あ、私も一応かぶってる。というか、90年代はほぼ10代として生きた。私の10代は90年代とミレニアムと新世紀初年。)

講談社ノベルスといった、この手のジャンルの本は、今まで全く好みでなく、手に取ったことすらなかった。
だが、友哉氏の本のページをパラパラとめくってみると、表現がなかなか面白い。
これを10代で書けるとは大したもんだと思う。
ただ、すっごく「頑張っちゃってる」感は拭えない。
吟味に吟味を重ねた言葉なんだろうな、というのがいくつも目に付く。
特に会話の部分で使われている表現は不自然。
まあ、そこにまた現実離れした頭の良さを感じて面白くて笑ってしまう。
彼の事だから、恐らく故意にそうしている。

デビュー作は『フリッカー式』というもので、
第一章>>>>取り敢えず足を滑らせて
第二章>>>>そこはかとなく動いては
第三章>>>>まだそこに目を向けずに
第四章>>>>間違ってみせた
第五章>>>>強がってみせた
第六章>>>>繋がってみせた
終章>>>>||||||||||||||
といった構成。

佐藤友哉に、法月綸太郎はこう熱賛を浴びせる。
≪――(前略)―― 矮小化された現代の物語に片っ端から唾をかけ、黒い哄笑とともにずらかる「極東のボリス・ヴィアン(嘘)」。若さっていうのは、醜いもの全部に鼻歌交じりでオサラバできる能力だ。≫
by epokhe | 2005-01-30 15:42
line

MAIL: epokhe@excite.co.jp


by epokhe
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite