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夢野久作

「東京の女は自由である」と、夢野久作は書いている。
「眼についた異性に対して、堂々とモーションをかける。異性を批判し、玩味し、イヤになったらハイチャイをきめていい権利を、男と同じ程度に振り回して居る」、「往来を歩く姿勢も、昔と違って前屈みでは無い。昔は<屈み女に反り男>であったが、今では<反り女に反り男>の時代になった。そのうち、<反り女に屈み男>の時代が来るかも知れぬ」と、彼は言う。
夢野久作は、反り女の自由さ・勝手気ままさを憂いて憤慨し、その悪の根源は欧州大戦だとする。
「欧州大戦は、民族性や個性の尊重、階級打破、圧迫の排斥なぞと云ういろんな主義を生んだ」と言う。
それらは「今まで束縛され、圧迫されて居たものの解放と自由」をうながしたかに見えながら、結局は、世紀末的ダダイズム、邪教崇拝、変態心理尊重の頽廃的傾向を生み出し、「全人類の不良傾向にむすびついていったに過ぎなかった」と、彼はとらえる。

これは少し変である。
矛盾していておかしい。
世紀末的ダダイズム・邪教崇拝・変態心理尊重の頽廃的傾向が、「全人類の不良傾向にむすびついていった」と批判する彼が、何故ああいった作品を書いたのか。
彼こそまさに、ダダイズムや変態心理尊重の代表者である。
倫理的ぶっていて、倫理のかけらすらなかった人物だったのではないかと、私は想像する。
小心者のダダイスト。
気持ち悪い人だなー、この人は。
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by epokhe | 2005-02-10 21:39
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