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映画『白バラの祈り ~ゾフィー・ショル、最期の日々~』

“お前は正しい。 誇りに思うよ。”
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映画『白バラの祈り ~ゾフィー・ショル、最期の日々~』鑑賞。
ゾフィー役の女優、見覚えあるなと思ったら、『ベルリン、僕らの革命』に出演していたユリア・イェンチだった。
ドイツと日本は似ている所があるので、日本を知るためにはドイツを知ってみることも有効かもしれない。
この映画で一番凄いと思ったシーンは、冒頭に掲げた台詞が出てくるシーンだ。
ゾフィーの父親は、娘が死刑になる直前、「お前は正しい。誇りに思うよ。」という言葉をかけるのである。
自分の娘がこれからギロチンにかけられるという時、そのような言葉をかけてやるのである。
素晴らしいと思った。
父親に寄り添う母親も、頷きながら娘を見つめる。
思想が一致した家族というのは、とてつもなく凄いと、ただただ思った。
思想の上で団結していれば、身体が死んでしまおうと、そんなことはどうでもいいのだ。
そういう強さを感じた。
メタフィジカルは、フィジカルを超越するな、と思った。
というか、そもそもフィジカルをメタしている(超えている)からメタフィジカルと言うのだけど。

学生時代の帰国生仲間に、ドイツからの帰国友達がいる。
彼は確か、小学生の時からドイツに住んでいた。
私は彼に、「ドイツってどんな国?ドイツ人ってどんな民族?」的な質問をしたことがある。
彼は、ずばり一言で答えてくれた。
「暗い国だよ。」
私は拍子抜けした。
なぜなら、当時の私はドイツ人を尊敬していたからだ。
だって、偉大な思想家は大体ドイツ人だもんねえ。
私は、彼の返答を聞いた時、えー、「暗い国」だなんてバカにして、何その答えはー!と一瞬思ったが……。
しかし、よく考えてみると、彼の言う通りであって、つまり、そういうことなのである。
「思想」なんてもんが発達する国は、つまり、「暗い」のだ。
現実原則が明るい国には、思想が発達する余地などない。
彼は続けた。
「ドイツ人は、みんな根本的に暗いんだよ。ってか、暗いはずなんだ。だって、あんだけ哲学なんかが発展するって、相当暗いだろ。普通の生活で明るくバカやってられたら、哲学的なもんなんて生まれねーぜ?思想の国ってことは、要は暗いんだよ。実際あいつらは、どこかしら暗いしね。」と。
彼の、「暗い」という言葉に含まれる意味が、私はとても面白く感じた。
比較として、アメリカを例に挙げるなら、アメリカの哲学は実用主義であり、「実用」という時点でそれは本来哲学ではない。
したがって、アメリカには真の哲学はない。
日常や現実のみに重きを置く国は、確かに明るく、悪く言えば単純なバカである。
一方、深い思想を持つ国は、ファンダメンタルな暗さがあるだろう。
現代が、こんなにも「明るい」国が強力であることの背景には、思想抜きの現実、つまりフィジカルなものしか視野に入っていないことが挙げられる。
本当は、メタフィジカルがあってこそフィジカルが存在するのに、それを忘れると、或いはそれを知らないと、極めて薄っぺらい、深みのない世界になる。
そういう見せかけの「思想」を選択しているのは我々自身なのだが。
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by epokhe | 2006-03-13 00:10
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