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試論Records

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振り返ること

◆数年前までの私だったら、何事も早め早めに、万全に万全を期して必要以上の力を注いで物事を片付けていた。勿論結果はそれ相応のものを出せた。あれだけやったんだから当然だろうと思う。しかし、数年前から私は、何事も追い詰められないとやらない人になった。追い詰められないとやらない、というか、そこまで事前から準備万端にしておかなくても、「適当」でうまくいくようになった。これだけやっておけばクリアできるだろう、とか、これくらいなら要求水準を満たすだろう、ということが、判ってしまった。そこまでやらなくても、「そこそこ」で何とかなるものだと気付いてしまった。それからの私は、B型根性を前面に押し出し、大概のタスクに対してギリギリの段階で着手して片付けるスタイルとなった。それで済むならそれに越したことはないし、効率的であるし、そもそも、やることが色々あり過ぎて、昔みたいに1つのことにそんなに時間をかけられないというのも事実。あぁ。判ってしまうというのは哀しいことだなぁ。パッションだけで生きていたあの頃が懐かしい。

◆この前、大学時代の友人と話していて、やっぱり我々は根本的な部分で芸術家志向を捨てきれないのだという話がちょろっと出た。アーティストに対して、いい意味でも悪い意味でもコンプレックスを持っている。芸術家に弱い。芸術家が目の前に現れると無条件で憧れを抱く。我々はアートの真っ只中、或いはアートに最も近い世界にいたくせに、結局自分ら自身はそれとは異なるフィールドで「仕事」をしている。情けないというかやるせないというか。「適応力」が成し得たわざである。「適応力」なんかがなかったら、アートに突っ走っていたに違いない。半端な適応は、時に強固な現実志向を生む。「こうするのが一番いいんだ」とオツムで判断すると、現実主義に陥る。思えば我々も、随分頭でっかちになってしまったものだねぇ。そう。これからは、理性ではなく野性で生きなくてはいけない、ということもオツムで解っている。
by epokhe | 2006-05-20 15:22
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