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貧困と逸脱

『デフレ不況下の「貧困の経験」』の中で、岩田氏は、パネル調査を用いて「貧困の経験」を詳細に提示し、貧困に結びつきやすい要因として離死別経験、多子、低学歴、未婚継続を指摘する。
日本の母子家庭における母親就業の高さは、既に多くの研究によって明らかにされている。
その原因の一つは、高い就業インセンティブを組み込んだ児童扶養手当制度と見られる。
母子家庭は多くが低所得層に位置するが、その高い経済的リスクは、彼女らの低い賃金と密接な関係がある。
公的現金給付は彼女らの低い収入を補完し、低所得リスクへの転落を予防する施策として位置づけられるべきものだと説く人もいる。

同著書の中で岩田氏は標準的生活様式を指数化し、貧困経験者は標準的生活様式から脱落しやすいと述べる。
二人親を標準とするなら、一人親であることは標準から逸脱したライフスタイルとも言える。
ここで単純に多数派が経験する(経験してきた)ライフコースを「典型」と捉えると、単独世帯や一人親世帯はその典型から外れた例となる。
この典型から外れることが経済リスクを高くし、さらに女性の場合はそのリスクが加重される。
この「典型からのズレ」は明らかに性差を内包している。
事実、世帯構造分布を見ると男女では大きく異なっており、女性が世帯主になること自体まだ珍しい。
ただし「典型からズレ」ることは、女性だけの問題ではない。
男性も未婚のままとどまること、離別をすることが高い経済リスクを伴う。
この多数派に対する少数派、「典型から外れた場合」を社会的にどう支えていくかが、公的保障の在り方を考えるにあたってのキーとなるらしい。

上記は、今話題の「格差」の根元の一つだが、ノーマルから外れてしまった人が即弱者という状況は、非常に嘆かわしく可哀相な話である。
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by epokhe | 2006-06-17 19:56
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