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麻布十番納涼祭り/的屋

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私の住む街が、おとといから今日までの三日間、
非日常の光景へと変貌する。
一体どこから湧いてきたのかと思われる程の尋常でない人の波・嵐。
祭りが済んだ後の街は、哀しくなるくらい汚い。
住民の苦情が多いのも納得。
数年前は、うちの前の玄関で、どこの誰か分からない方々が座り込み、
酒を片手に「宴」を始めていてビックリしてしまった。


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しかし、おととしくらいからは祭りの終了時刻も多少早まり、
警備・規制も比較的厳しくなった。
本祭りは都内でも有数の大規模な祭りであり、毎年30万人もの人が訪れるため屋台で得られる収益も並大抵のものではない。
全国を回る「的屋」さんにとっても、本祭りで得る収益が全体の大部分を占めるそうで、場所取りの競争率も凄まじく高い。
よって、本祭りでルール違反でもして翌年以降の出店を拒否されることは、的屋さんにとっては生死に関わる問題となるため、
的屋さんもおとなしく言うことを聞くらしい。
ゴミに関するルールや時間に関するルールなど、彼らもきちんと守るらしい。
商店街の人々との交渉でも腰が低いと聞く。
思いを巡らせてみると、何だか面白いな、と感じる。
実際問題、ある人にとって完璧な絶対的ポリシーなどは存在せず
皆、現実の状況によって折り合いをつけて生活しているのだな、
と、的屋さんの様子を想像して思った。
可笑しいけど、そんなもんだ。
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by epokhe | 2004-08-22 19:27

両性具有/男

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男色は日本だけでなく、ギリシャ・ローマは元より中近東でも印度でも中国でも昔から盛んに行われたが、或いは宗教上の制約から、もしくは常民の生活から逸脱しているところに魅力があったのだろう。
だが、そうとばかりもいえないのは、十三、四から二十歳前後の男の子には、誰が見ても人間ばなれのした美しさがある。
それがわずか四、五年、長くて六、七年で消えてしまうところに物の哀れが感じられ、ツバメの趣味なんかまったく持合わせていない私でさえ、何か放っとけないような気持になる。
シモヌ・ド・ボヴォワールは、「人は女に生まれるのではない、女に成るのだ」といったが、男は男に成るまでの間に、この世のものとも思われぬ玄妙幽艶な一時期がある。
これを美しいと見るのは極めて自然なことであり、別に珍しいものではないと私は思っている。

白洲正子『両性具有の美』(菊花の契り)より

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「両性具有」という言葉はいささか硬質で学術的な響きを持っているが、
やまと言葉では「ふたなり」と称し、病草紙に哀れな姿をさらしている。
確かに病であれば人間にとってこれ程恥しく不幸なことはないのであるが、
ギリシャやローマでは逆に持て囃された場合もあるようで、中国でも男が子を産んだり、
年上の女が嫁入り前の生娘に性の快楽を教えたことを南方熊楠は指摘している。

白洲正子さんという人物は、とてつもなく偉大すぎて荘厳すぎて、
理想のそのまた先の、死んでも手の届かないような所に存在する人物なので、
ここでは語り得ない。
最も深く影響を受けた人については語りにくいというのは勿論のことであり、
白洲さん自身について語るには、まだまだ時間と能力と感性を要する。
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by epokhe | 2004-08-20 22:23

民族学的経験

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おなじひとりの人間が、自分の論ずるすべての社会を経験によって知るということはできもしないし、またその必要もない。
かれが時折、しかもかなり長期にわたって、他の文化から教えられるすべを学んだというだけで十分である。
以後かれは、一つの新しい認識の機関をわがものにするわけだし、自分自身の文化のうちに取り込まれていないために、それによってかえって他の文化とも疎通しあえるような、みずからの野性の領域を取り戻したことになるからである。

メルロ=ポンティ『シーニュ』より

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上記を、メルロ=ポンティはわれわれ自身の「民族学的経験」と名づけた。

彼において根源の探究は、
「厳密に客観的方法によって得られる大上段にのしかかる普遍ではもはやなく、われわれが民族学的経験によって、つまりたえず他人によって自己を吟味し自己によって他人を吟味することによって手に入れる側面的普遍である」。
つまり、「原理的にいって他国や他の時代のひとびとにも接近可能となるような一個の<拡張された経験>を構成すること」、それが問題なのであった。
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by epokhe | 2004-08-20 03:22

非匿名/法学部教授

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なるほど、こういうリンク先から私のブログに訪問される方もいらっしゃるのだな、と確率的に考えてみた。
関連リンクとして下から11番目位に私のブログが掲載されていた。
佐世保小6女児同級生殺害事件についてである。
あれから、もう2ヵ月半経つのか・・・。

不特定多数の人間達によって、個々のブログというものが
あくまで匿名性をもって運用される範囲においては、
そこにおける発言も匿名性を帯びた内容に留まる。
だが、もし個々の身元が明らかになってしまったとしたら、
その発言内容に怨恨を抱いた人間によって、発信者が危険に晒されるかもしれない。

法学部の教授の講義が、いつも欺瞞に満ちていると感じるのは、
こういった実情と絡んでいるのか。
法学部の教授の発言って、「ビビッてる」。
講義を一緒に聞いている友人は、「あの人、何ビビッテンの?」と呟きさえする。
法学っぽく「説明」しようと頑張っちゃってるらしいが、
こちら側からすると、何かオドオドしてるようにしか見えない。
無難なことをもっともらしく言っても、結局、言葉の上滑りで何一つ言ってないし
その言葉自体が全然響いてこないから、とことん不毛な時間に付き合わされた感。
中身は何にも咀嚼できてないのに、分かったようなフリをして一人で喋ってるから
聞いている我々は「ハテ?」といった感じだ。
「全然違うと思うよ。」と言ってやりたい。
もう少し、「なるほど!」と思わせるような言語と、表情と、姿勢と、視線を希求する。

とは言え、これを彼らが目にしたら私は破門かしら、と考えないわけではない。
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by epokhe | 2004-08-18 15:47

第二の家庭

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第二の家庭の「新築住宅」に足を踏み入れ、そこの匂いを吸ってきた。
文京区の一等地に一戸建ての輸入住宅をこしらえて、
ユッタリとお過ごしになっているなんて、羨ましい。
私がソレを羨ましく思うって事は、私はソレを持っていないのだが。
羨望という事

自家用車がVOLVOだから、
それに合わせてSwedenHouseにしたらしい。
窓枠が「木」ってのが特徴的で、SwedenHouseならでは。
吹き抜けの階段の壁にある、ステンドグラスが安らぐ。
横長のステンドグラスって珍しいから、オーダーメイドで大変だったみたい。
新築の香りが、エアコンの風に乗って私にふりかかる。

Aちゃん、こんな快適なお部屋で受験勉強できるなんて、貴女は幸せ者よ。
「自分の部屋で勉強してるとさみしくなっちゃう。」なんて言うのは贅沢。
まあ、さみしくなったらリビングでオベンキョしなさいね。
あそこだったら、「やってるうちに楽しくなってきちゃってはかどる。」って言うのも分かる。
全国模試では校内1位に君臨したんだから、あとは自己暗示で大学なんて受かるさ。
それにしても大学受験生って、本質的でない事をよく口にする。
あの頃の自分もそうだったのかと思い起こすと、背筋に虫が這う。

T君、こんなステキでキレイなオウチに建て直してもらったばっかりだっていうのに、
キミは葉山の別荘に行って花火大会を見てるんだって!?
また、お土産に貝殻拾ってきてよ。
T君に貰った「フジツボ」、うちのトイレに居るよ。
あさって、キミの部屋にもお邪魔するから、その時いつもみたいにイッパイ話してね。
前回以来、T君は夏休みの宿題には指一本爪一枚触れていないのであろうから、
その時、数学の「補充セミナー」とかいう問題集を完遂させねば。

私の第二の家庭は、確実にリッチなんだけど全く気取ってない。
そして、とってもあったかい。
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by epokhe | 2004-08-18 00:13

解決不可能性による内破

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惨劇はとつぜん 起きる訳ではない。
そんなことがある訳がない。
それは実は ゆっくりと徐々に 用意されている 進行している。
アホな日常 たいくつな毎日の さなかに。
それは―――。
そしてそれは風船が ぱちんとはじけるように 起こる。
ぱちんとはじけるように 起こるのだ。

(以上、再び、岡崎京子『リバーズ・エッジ』より)
Cf.リバーズ・エッジ/解決不可能性
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上の≪ぱちんとはじける≫という箇所、これが「内破」である。

現代ニッポンにオピニオンリーダーのようなものがいるのなら、
それは岡崎京子だ、みたいなことを誰かが言っていたが、実にそうだ。
彼女は、まさにイマの時代をえがくヒト、超えてゆくヒト。

現代ニッポンは、「なにも解決しない・・・・・・」そんな時代である。
解決から解決しない、ではなく、
解決しないが「解決」幻想のあった時代から、解決幻想さえ無い時代へ。
問題が溢れるのに解決されない――という状況は、
風船にどんどん空気が入っていくのと同じで、ある限界まで来るとパチンとはじけてしまう。
キレてしまう。
イッてしまう。
個人から、家庭から、関係から、学校から・・・・・・そして社会まで、
パチンパチンというふうに。
内破する・・・・・・。

私にだって、アナタにだって、キミにだって、カレにだって、カノジョにだって、
誰にだって、惨劇はゆっくりと近付いてきている。
外側からでなく、内側から。
そんな時代だ。
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by epokhe | 2004-08-17 00:48

Melody/黄昏空

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世界は 喪失 欠如 不在 消失 に満ちているわ。
そして 暴力。
それだけで 世界はぱちんとはじけそうよ。
でも 思考と エクリチュールと 愛だけが
それを救済することができるのよ。
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「生きることなんて召し使いにまかせろ」とリラダンは言ったわ。
そのとおりね。
でも 現実には あたしが召し使いなんだわ。
生きるって めんどうね。
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なんか忘れてるような・・・。
あたしって いつもそう。
いつも何か忘れながら 生きているんだわ。
そして とりかえしのつかないことをしてしまうのよ。
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(以上、若い時に本を読まなかった超々美人&sexyな古本屋のおねーさんの言葉より)


【写真について】
黄昏の空と雲。
こんなふうに、空がピンク色に染まる時間は、本当にわずか一瞬。
正確に言うと、空は薄青くて雲が薄赤いから、
その二つが重なり合って、ピンクがかった薄紫色になっている。
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by epokhe | 2004-08-16 19:31

区立図書館の秘密の香り

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近所の区立図書館が、とっても面白い。
面白いのは、そこに訪れている人々。
普段、フツーに過ごしていたら
到底出会えないような種類の人達に巡り会える。

この図書館は、あまり新しい建物ではない。
むしろ古めで、そこがまたイイ味を出している。
古い建物って、気楽な気分になれて、
懐かしい落ち着きが得られる。
古いとはいえ、検索・予約等ができるシステムはグレードアップしていて
ちゃっかり「IT化」はされている。
また、ここのニオイも独特で、不思議とリラックスできてしまう。
決してイイ匂いではないし、「クサイ」って言う人もいるかもしれないが、
昔からの本とか、手垢とか、そこに居る人の頭皮とか、何かそんな感じのニオイ。


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こんなふうに、それほど気取った空間ではないため、
誰でも気軽に入りやすく、その結果、
「人種のサラダボール」が生まれている。
私は閲覧室に座って調べ物をしていたのだが、
調べ物なんかより人間観察の方がよっぽど楽しくて、
時間の半分は人を見たり窓の外を見たりしていた。

ほとんどが男性で、それも明らかに定年退職後の年齢層の方々である。
新聞を読んだり、雑誌を読んだり、漫画「火の鳥」を読んだりしている。
私の隣の席に座っていたオジサンは、顔を机に異様に近付けて何かを読んでいた。
あんまりにも近付け過ぎていて、顔と机が平行状態だったので、
最初見た時は寝ているのかと思ったが、目を開けていたのでビックリだった。

それに、「ホームレス」に近い風貌の男性も数人いる。
紙袋のようなものをいくつも手元に置いて、彼らも静かに読書をしている。

他は、受験生らしき若者、或いは私と同じ境遇の学生らしき男の子。
とっても真面目にお勉強をされている様子。


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しばらくすると、可愛らしいオバアチャマが入ってきた。
オバアチャマなんて言ったら失礼だろうか。
年齢とかは分からないのだが、60歳超と思われるオバサマだ。
紺色のワンピースを着て、黒髪を後ろでお団子みたいにまとめ、
オシャレな籠バッグを左手に持ち、まつ毛がお人形さんみたいに長い。
その女性は、私の斜め右に座った。
まもなく「リリー」の香りが辺り一面に漂い始める。
ユリの香りを振り撒かれたので、私はしばし彼女を観察・・・。
飴色のイヤリングも、眼鏡をかける仕草も涼やかだったわ。

帰り道、「リリー」(←オバサマの名前を勝手に決定)とある男性が
二人で歩いているのを目撃!
その男性は私の向かいに座っていたピンクシャツのオジサンだ!
私と同じく、ユリの香りに「ヤラれた」らしく、リリーをお茶にでも誘ったと思われる。
私もオバサマになったら、「オシャレして図書館に出掛けて、ユリの香りをムンムンさせて
お茶に誘われよう作戦」をしてみたい。
知的なオバチャマだったから、何か憎めなかったし、ちょっぴり哀愁を感じた。
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by epokhe | 2004-08-15 19:25

リバーズ・エッジ/解決不可能性

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業界的には、岡崎京子を読んでなかったら「モグリ」なので、
連続してしまうが、岡崎京子『リバーズ・エッジ』より

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あたしはね ”ザマアミロ”って思った。

そのとおりよ ”ザマアミロ”って。

世の中みんな キレイぶって ステキぶって 楽しぶってるけど ざけんじゃねえよって。

ざけんじゃねえよ いいかげんにしろ。

あたしにも無いけど あんたらにも 逃げ道ないぞ ザマアミロって。


(以上、吉川こずえのセリフ)

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学校のウラに空き地があって、
そこのセイタカアワダチソウがしげっているヤブで、死体を見つける。
初めてその死体を見た時、どう思ったかについて、
吉川こずえ(←ファッションモデルをする高校生)が喋るシーン。

≪あたしにも無いけど あんたらにも 逃げ道ないぞ ザマアミロって≫
という部分が、「解決不可能性」ってものをピッタリ言い表しているのだ。

現代って、再び「解決不可能性」の時代に突き当たっている。
吉川こずえは、そんな時代のリアリティを写し出してくれてて快感。

Cf.解決不可能性による内破岡崎京子とサルトルと違和
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by epokhe | 2004-08-15 01:29

彼女

ある種の女性のいくつかの仕事について。
暇をつぶさなければ・・・・・・。
あるいは何かに自分を占領させなければ。
だから、それは仕事なのです。
あるいは被占領。


岡崎京子『彼女』より
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by epokhe | 2004-08-14 16:55
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