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一期一会

KIHACHIカフェの前にて、弟と順番待ちで座っていると、伊勢丹のショッピングバッグと大きめの鞄を持った、恰幅の良い中高年男性一人が私達の後に並んだ。
列の順番が進み、席をずれると、
「席つめなくちゃいけないのかな。面倒だな。」
と、その男性は一人で言っている。
普通の人ならシカトするだろうが、弟は、
「いいんじゃないですか?!大丈夫ですよ。」
と、答えてあげていた。
で、私も笑顔で頷いておいた。
確かに、荷物多くて大変そうだし、次に人は並んでいないから、人が来るまで席をずれる必要はないだろう。
すると、その男性は一気に嬉しそうな顔になり、私達を笑顔で眺めている。
そして、
「どうだい、2人は結婚については。」
と話し掛けてきた。
どうやら、私達はカップルに見えたようだ。
私が、
「私達、キョウダイなんですよ。」
と答えると、男性は「あぁ、なんだ、そっか、ナルホド」というような表情をした。
そして、弟が
「似てますか?」
と訊くと、私達2人の顔を交互に見比べて、指を差しながら
「いい男!!!いい女!!!」
と言い、満面の笑みで上機嫌のオジサマ。
挙げ句の果てには、
「一緒にお茶でも飲みましょう。ご馳走するよ。私はすぐに帰るから。」
と言い出した。
私達は慌ててお断りし、
「そんなことなさらないでください。後から人も来ますし。」
と、恐縮しながら断っていても、
「いいから、いいから。他の人も後から来るなら、伝票持ってきなさいよ。ご馳走しますから。」
と譲らない。
結局、数千円を強引に弟に渡し、
「ご馳走させてよ。私は60歳ですけど、こんなイイ兄弟は初めてだ!!感動した!!」
と仰った。
私達が、悪いです、困ります、と何度言ってもキッパリとした態度のオジサマ。
最終的に、深々と御礼を述べ、お金を受け取った。
オジサマは、どうってことないようだ。
服装や立ち居振る舞いから察しても、かなりのお金持ちオジサマと見た。
見ず知らずの人から、いきなりお金を戴いたのは初めてかもしれない。
でも、私達は何一つ親切をしたわけでもなく、ただ普通にボケーッと並んでいただけなのに。
私達の顔が、オジサマの好みの顔だったのだろうか。
赤の他人に絶賛されるような顔ではないと思うが・・・。
それとも、愛想の良い仲良し兄弟に見えたのだろうか。
見ず知らずの他人には、完璧シカトが前提のTOKYOだもんね。
TOKYOは無愛想人間が生きる街だもんね。
でも、こんなことが世の中にはあるんです。
これこそ、まさに一期一会。
もう二度と逢わないであろうオジサマに、もう一度、ありがとう。
そしてオジサマ、もしこの記事を目にすることがありましたら、是非ご一報ください。
by epokhe | 2004-12-15 23:09
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