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建築は何を目指しているか ~建築・空間・デザインの意義~

建築学科に入ってくる学生で勘違いをしている人が結構いる。
「カッコイイ建物をつくりたい」とか「芸術的な建物をつくりたい」と思って入ってくる人がいるが、実際、このことはあまり重要でない。

建築は基本的に中に入って中から見てほしい。
建築というのは中に入れて中から見ることができる。
スケール感とか。
構築物にならなかった、何もつくらなかった部分(=空間)が重要。
中から見た空間を感じてほしい。
建築とは、構造物をつくり「空間」をつくっている。
その空間を「体感・体験」する。
建築とは、行動できる(動ける-動けない、見える-見えないetc.)境界面(床、壁、天井etc.)をつくっている。
その空間(物理的構築環境)は人間に何らかの情報・影響・可能性を与える。
空間をつくることによって初めて、新しい人間行動の可能性を提供できる。
空間デザインを変えれば新しい人間と環境の関わりが生まれる。⇒建築設計・空間デザインの意義
空間デザインの重要性は、「装飾」「様式」ではない。⇒利用者としての人間の視点(モダニズム)
人間が環境をどのように認知・行動するか、環境と人間の相互影響を実証的に明らかにする必要がある。

【例1】
1986年にできた上海銀行のオフィスビルはスゴイ。
吹き抜けが多用されていて、日本のオフィスビルにはまずない感じ。
日本の場合は防火上の規定で、オフィスビルは非常に閉鎖的である。
オフィスフロアごとはオープンでも、オフィスビル全体としては、ますます閉鎖的になっている。
例えば、ヒルズの森タワーとかねぇ。。。
いつもオフィスに入るだけで「面倒くさい!」って感じている。
セキュリティー上の問題もあると思うが、あれでは逆に危険。
人工的なセキュリティーには限界がある。

【例2】
小学校建築が、ここ20年くらい変わりつつある。
教室に連動する多目的スペースとして、オープンスペースを設けるところが増えている。
というか、オープンスペースを付けないと補助金がおりない。
あとは、間仕切りのない教室とか。

【最後に】
建物は決して単独では建たない。
1つの町並み、その町並みの中にある建物の中に建つ。
関係性の中でつくられていくべきもの。
人がいることが前提のデザインが必要で、デザインの対象はモノだけでなくコトも。
デザイナーなしの優れた豊かなデザイン(楽器、集落、街並み、下町の路地etc.)の再評価も必要。

【追記】
建築が空間をつくることであるのなら、何もつくらない空間をつくるのもまた建築の範疇なのではないか。
建築は「建設」だけではないと思う。
私の目から見たら、日本は既に過密だし建物も過剰供給だと感じる。
何もつくらない、或いは何かを破壊することで生み出す空間の可能性はないのだろうか。
デザインの前提となる「人」も今後減るんだし、、、できないのかな脱構築(笑)
でも、「建設」と癒着しないと利益が出ないから仕方ないんだろうか。
by epokhe | 2005-10-19 18:15
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