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行定勲監督『春の雪』

瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ
(せをはやみ いわにせかるる たきがはの われてもすゑに あはむとぞおもふ)
   崇徳院(すとくいん)(1119~1164) 第75代天皇  「詞花集」

『春の雪』を観た。
今年の7月に行定勲監督のお話を伺った時、「≪外人が撮ったような大正時代≫を目指してつくった。」と仰っていた。
映画全体として最初から最後まで貫かれるのは、百人一首にもある上記の歌に象徴される。
「私の一番好きな歌。この歌の意味、お分かりになる?」と聡子姫が言っていた。
三島の原作未読だったので、まさか最後、姫が出家するとは思わなかった。
でも、妥当な結末かもしれない。

妻夫木聡演じる松枝清顕に贈りたい言葉は以下の3フレーズです。
自業自得。
因果応報。
身から出た錆(さび)。

本映画をご覧になった皆さん、そう思いませんか?
愛の表現はストレートでなくてはなりません。
清様、、、聡子姫の意志ある表現を見習いましょう。

竹内結子は、この上なくお美しゅうございました。
着物が似合う。
大正風ドレスが似合う。
竹内結子は何が綺麗かって、とにかく輪郭が綺麗。
美人の条件は、まず輪郭です。
適度に顎が出てて細長く綺麗な輪郭だから、美人だなと感じるんだと思う。
これで輪郭がひどかったら、また印象が全然違ってくる。
着物映えする竹内結子を惚れ惚れと眺めさせて頂き、改めて顔の輪郭の重要さを認識した。

私は人生後半のいつかは、京都のどこかか、奈良のならまちに住んでもいいなと考えていたが、『春の雪』を観て、「こういう所に住んだら、出家欲に駆られちゃうかもなー。」と思ってしまった(笑)
まあ、それまでは超世俗で泥まみれ汗まみれ煩悩まみれの生活を満喫し切ります。
あまりに達観して世俗に辟易してしまったとか、よほど何か強烈な動機や意志がない限り、出家できるものではないと思うが、現代において、出家という道はどれだけ選択肢があるのだろう。
もはや出家も世俗化しているとしたら全く意味ないし(誰かさんみたいに…)。

自分以外の他の意志によって、本当に愛している人との子供を殺さなければならないとしたら、あなたは殺しますか?
殺して出家しますか?
私だったら、何が何でも産みますし(ヒトのかたちで膣から出してやりますし)、それが不可能ならやっぱある意味出家するんだろうな。

『春の雪』は大正時代の貴族という限られた社会の話であって、今とは状況が違う。
今は日本も、恋愛が自由市場化されていて、日々刻々と変化するマーケットの中に自分もいるし相手もいる。
「運命」とか「イエ」とか「情(じょう・なさけ)」とか「習慣」とかを、言い訳にはできない時代である。
私も変わるしアナタも変わる。
そのことをお互いに充分認め合った上で、信頼を築いていければ上等なことだと思う。


Cf.冒頭の歌の意味についてはコチラなどをご参考に
by epokhe | 2005-11-02 18:10
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