小中学校の建築/オープンスクールの系譜/シーラカンスという集団
閉鎖的な「学級」を開き、様々なアクティビティを受け止め、多様な学習形態、弾力的な集団編成を可能にする、などの目的でつくられるオープンスペース。
今では、このオープンスペースをつくらないと、逆に補助金がおりない程である。
そして、その結果、大きな問題点として、「オープン化」という「画一化」を生んでしまった。
また、オープンスペースを付けたものの、その学校の先生らが使い方が分からないことも少なくないらしい。
オープンスペースをうまく使える先生がいないのだ。
これでは、せっかくつくったオープンスペースも無駄である。
一方、子供達にとっても、広いばかりで「籠もれる(こもれる)」空間がない、という点がある。
子供って、ちょっと「籠もる」ことのできる、狭い空間が割りと好きだったりするのだ。
オープンスペースの話題とは少し離れて、学校の家具について。
学校建築では、家具と建築物がバラバラに発注される、というケースが多い。
これは、家具と建築物の予算が別々に組まれる(?)ということに起因する点も多いそうだが。
したがって、せっかくステキな建築物をつくっても、中の家具がチグハグでは、空間としておかしなことになってしまう。
そこを頑張って、建築も家具も共に手掛けてプロデュースしているのが、「シーラカンス」(現:シーラカンスK&H株式会社)である。
彼らが建築も家具も共に手掛けた例の一つとして、千葉市立打瀬小学校←(指名プロポーザルコンペ当選)(第8回千葉市優秀建築賞 公共建築部門 千葉県建築文化賞)(建築学会賞作品賞1997,建築作品選奨1997)が挙げられる。
この小学校は、周囲のレジデンスビルや新興開発都市(幕張ベイタウン)と一体化していてすごい。
「閉ざされた学校」から「地域と共にある学校」へ。「収容施設としての学校」から「生活環境としての学校へ」。という、学校建築に求められる点を体現化しているl。
「シーラカンス」は2人のパートナーを中心に、20代~30代前半のスタッフで構成される、平均年齢の若い集団である。(うち、「2人のパートナー」は大学で教授もしている。)
こういう若い人達が、公共の仕事を多く手掛け且つ評価されているのは、とっても良いことだと思う。